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湯けむり横丁みさと | 極上の寝湯と壺湯


妻と娘がまた私を一人置いて日曜日に出かけてしまったので、新しいスーパー銭湯を開拓することにした。オープン時より気になっていた三郷にある「湯けむり横丁みさと」へ自転車で出かける。片道約10キロメートル、クロスバイクで出かけるにはちょうど良い距離だ。昭和レトロ風の内装を施してあるということでそれも楽しみである。 到着、柏からだと少しわかりにくい場所にあったが最近ではスマホのナビがほぼ完璧なので苦労はしない。ホームページに大きくアピールされている昭和風内装は外側からはあまり感じられない。見るとここにも会員制度があるようだ。入浴して気に入ったらぜひ入会していこう。 入場する。BGMはいきなり武田鉄矢に迎えられる。正直帰ろうかと思ってしまった。なんで武田鉄矢やねん。カウンターで受付をすませる。旅館の女中風の服を着た女性スタッフが3人ほど出迎えてくれた。会員証は持っていないと伝えると、腕輪を渡された。ここは全て後払いのようだ。いいね。今回もお腹が空いているので、まずは食堂へ向かう。

 ホームページに堂々と載せられていた昭和の町並み風の食堂だ。BGMが森進一(だと思う)へスイッチ。そうか。昭和を表現しているからこのBGMだったのか。しかし昭和の少年時代を送ってきた私には、町並みとBGMがマッチしない。このような町並みは流石に私も知識として知っているだけだ。しかし曲は知っている。おそらく町並みは50年代、曲が70年代なのでちぐはぐなのだ。昭和といっても戦前から消費税導入直前までかなりの長期間なので、そこはしっかりとコンセプトを固めていっていただきたいところだとは思う。風呂あんまり関係ないからいいけど。
 食べ物のメニューはどこのスーパー銭湯にもありそうな雰囲気のものだ。ご飯と揚げ物、後は焼きそばなど。なかなかこういったところで個性的な食事にありつける事はない。そこは我慢しよう。餃子2人前というメニューがあるのでそれを注文した。 あまりに普通で、いってしまうとスーパーで売っている餃子のような味で何の印象にも残らなかった。そして写真も忘れた。つまり、まずくもない、価格なりという印象だ。
 フロアの隅にある階段を登り、2Fの休憩所へ向かう。個人的にはここの休憩所の面積はもっと欲しかったところだ。極楽湯とは考え方が違うのだろう。どっちが良いというわけではないと思う。またここにもキングダムがあったので読む。呂不韋が失脚してしまうじゃないか。俺がもし仕えるのなら政より呂不韋だと思っていたのでこれは悲しい。キングダムの敵役は登場時に無敵感を漂わせる割には負けていくところがあっさりしすぎているような気がする。有名な歴史をベースにしているからある程度仕方がないとはいえ皆散り際にもう少し花が欲しい。
 さて、キングダムはそこそこにして風呂へ。ロッカーに昭和感を期待しするが、特にこちらに工夫は凝らされていない。衛生的な問題で難しいのだろう。カバンと服を放り込み、タオルのみを持って洗い場へ向かう。
 洗い場はなぜか狭く感じる。特に数が少ないわけではない。と思ったら洗い場だけが室内にあり、後は半屋外になっているのだ。何という大胆な設計!内湯なしか!少しガッカリ気味だった気分が上がってきた。さっさと体を洗い、風呂を見て回る。外だと思っていた湯舟はほぼ外のようだが、よく見ると中と外に分かれていて壁がすべて取り払われていた。確かに、全部外だと雨の日にお客様来ないよね。そして外の離れに内湯とさらに洗い場がある。これは面白い。狙うところはよくわからないが、個性的であることに間違いはない。
画像は湯けむり横丁みさとWebページより転載

 さて、サウナだ。浴場の端の方にあり、ドアは2枚あるが、外は外気に面している。つまり、人が出入りすると結構派手に気温が下がってしまう。サウナとしては今ひとつと言わざるを得ない。必然的に入る時間が長くなってしまう。1度目で15分ほど入り、隣の水風呂へ向かう。お、温度はちょうどいい。17度だろうか?深さもきちんとあり、4人が入ったところでぬるくなるわけでもない。ただ、湯舟の前の掛水ゾーンが狭く、少し気を使う。
画像は湯けむり横丁みさとWebページより転載

 ここまで、実は結構ガッカリしていた。10キロを自転車で走ってきたことは割とどうでもよく、食堂~休憩~サウナ~水風呂の流れが明らかに極楽湯に劣るからだ。極楽湯までは約1.5キロ、ここまでは10キロ。こっちにもう来ることはないか、と考えていた。
画像は湯けむり横丁みさとWebページより転載

 外気浴のために水風呂を出る。奥の方に石版の上で寝っ転がっている人たちがいる。ここにも寝湯があるのか!寝湯は以前にみのりの湯で体験して以来ファンになってしまっているのでまっすぐに向かう。だがみのりの湯とは様子が随分と違うようだ。みのりの湯の寝湯は、横になったらちょうど体が浸かる程度の深さがある。しかしここは石板の上が少しだけ濡れているだけだ。何なのだろうか、と思いつつ横になる。
 これが。もう未体験の気持ち良さ。石版はじんわりと温かく、その上に張られた温泉の湯膜が枕から足元に流れていく。首・肩・背中・腰・腕・足を一度に全て暖かい何かでさすられているような感触だ。何なんだこれは!と思わず立ち上がって見る。おそらく、ベッドになる石版は枕から足元に向けて緩やかに傾斜している。そして何の引っかかりもないほどによく磨かれている。枕元から絶妙に調節された温度と量の湯を流すことでこの信じられない気持ち良さを演出しているのだろう。やばい、これは寝る。寝るのは良くない、ということで縁台で少しばかり寝ることにする。
 充分に体が乾いて冷めた頃、外湯へ浸かる。温度はちょうど良い。41度といったところ。ここにはもう一つ、熱湯というのもあるが、それは私には熱すぎた。カルキ臭さもなく、ほんのりと良い匂いがする。先ほどまでのやんわりとしたガッカリ感は寝湯と外湯で完全になくなった。
 そして2ターン目のサウナへ向かう。寝湯の気持ち良さが理解できたのでサウナの少々の温まりにくさは帳消しである。早くサウナで温めて、水風呂で冷やして、寝湯へ向かうことで今は頭がいっぱいだ。本場フィンランドのサウナに比較して日本のサウナは温度が高すぎるという話もある。少々温度が低いぐらいが良いのではないかとさえ思い始めている。
 2ターン目の水風呂から上がり、今回は先に縁側へ行くことにした。寝湯が満員だったからだ。大の男が股間を晒して寝転んでいる光景は美しいとは言い難いが気持ち良さは伝わってくる。と、思っていたらずっと満員続きの壺風呂から上がる人が見えたので、そちらへ向かってみる。陶器でできた壺に温泉がなみなみと注がれており、そこにそろりと入る。これがまた!絶妙に陶器の肌触りが気持ちよく、少し冷たくも温かくも感じる不思議な感触だ。そして注がれる温泉が微妙に攪拌されている肌触り。壺の中はそれほど広くないので足は伸ばせない。だが温泉が壺の中を充分に回って行くので、体の隅々までマッサージされて行くような入り心地である。肩口から壺に入り込む温泉は背中、脇を通って膝の下を這うように流れて行く。外気はかなり寒く、それが却って壺の暖かさを際立たせてくれているようだ。
画像は湯けむり横丁みさとWebページより転載

 壺湯の横には小部屋が立っている。何があるのかと思うと、5人分ほどの洗い場を備えた内湯がその中にあった。「庵湯」と呼んでいるらしい。内湯に入るために一度外に出る!実に風情があるではないか。また湯船の縁はヒノキで作られており、いい匂いが部屋じゅうに漂う。どうやらこちらの庵湯には熱狂的なファンがついているようで、洗い場も湯船も満室である。確かにこれは気持ちが良い。
画像は湯けむり横丁みさとWebページより転載

 私個人に限って言えば、銭湯の主役はサウナだが、こと湯けむり横丁みさとに関しては圧倒的に温泉が楽しめた。もちろん、サウナに外気が入り込むということからいまひとつ入り込めなかったことはあるが、それを補って余りある温泉の魅力だ。
 帰りに会員登録を行った。コストコのカードを持っていると入会金300円が無料だ。家族でコストコやIKEAに来ることがあれば、次は一緒にこちらへ来よう。


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